野生動物のほとんどは、普段あまり見かけません、一体いつ活動していると思いますか?ながらの里山に棲む動物の撮影された時間から、夜行性なのか昼行性なのかを紹介します。
表1 撮影時間からみた活動時間の割合(2024)
まず、夜行性の動物からみてみましょう。夜行性の中で最も用心深い動物は、ハクビシン、ニホンアナグマ(以下アナグマ)です。昼間に記録されることもたまにはありますが、主に夜、確実に暗になってから活動します。次にタヌキ、アライグマの順でしょう。暗くなる頃からそして、明るくなる頃まで活動しています。ノウサギ、イノシシも夜が好きなようですが、夜明け前や夕方にも多く活動するタイプです。ホンドイタチ(以下イタチ)やキョンは昼行性タイプで明るい方が好きなようですが、夜間も活動していました。ただ、イタチのように小さくて素早い動物は、自動撮影カメラでは写らないこともあるので意外な一面があるかもしれません。最後にリスですが、唯一、ながらの里山で昼間にだけ活動する昼行性の動物です。午前と午後では午前中に78%の割合で出現していました。昼間なので見られそうですが、実際にまだリスを見たことはありません(表1)。
では、年間を通して季節別にどのような出現パターンがあるのかを記録の多いアライグマ、タヌキ、イノシシでみてみましょう (表2)。
表2 季節別の出現回数割合(2022-2024)
過去3年間ともイノシシでは秋に、アライグマは秋から冬にかけての撮影回数(出現回数)割合が高く、春から夏は低くなる傾向がありました。これは、秋から冬にかけて餌が減ることと季節繁殖性の高い動物なので時期的に頻繁に活動するためと考えられます。
なお、タヌキは、2022年はアライグマと同様の傾向を示しましたが、2023年は春と夏の出現割合が多くなりました。その時、タヌキの社会に何が起こったのかわかりませんが、2024年は撮影回数が激減してしまいました。個体数が減ったのは間違いないと思いますが理由はわかりません。
リスについては、秋から冬に出現割合が低くなる傾向です。ノウサギについては、2024年初めて年間を通してが撮影されました。傾向としては、冬から春にかけて出現割合が高いようです。
表3 3年間の繁殖確認回数と幼獣の頭数(2022-2024年)
次に、繁殖についてみてみましょう(表3)。
イノシシとアライグマは、2022年から毎年子供の姿を確認しています。このながらの里山の環境が適しているのでしょう。ハクビシンは2022年と2024年にアナグマとイタチは2024年にそれぞれ繁殖を確認しています。なお、タヌキは撮影回数が多い割にこの3年間子供の姿を一度も見たことはありません。各産子については、2024年動画集 というタイトルで動画を載せていますのでご覧ください。
なお、イノシシ、アライグマ、ハクビシンは農作物への被害や生態系へ悪影響を及ぼすことが知られています。特にアライグマは、特定外来生物でもあり千葉県は完全排除を目指しています。しかし、人的被害が認められない限り積極的な駆除は行われていないようで、こんな小さな里山でも多くの産子が毎年確認されています。今後、貴重な生態系を守る上では、新たな排除対策の必要に迫られるのは必至でしょう。